江戸湾で採れた海苔が「アサクサノリ」と名づけられて、およそ400年。残念ながら、古来種のアサクサノリは海苔の全生産量の1%にも満たない希少種となり、絶滅危惧種I類に指定されました。

しかし、三重県桑名市の技術者たちにより、難しいといわれてきたアサクサノリ養殖への挑戦がされました。2011年に原種を発見してから何度も失敗を重ね、やっと養殖成功の鍵を見つけ、純度90％以上のアサクサノリを実現。2013年に「伊勢あさくさ海苔」として、はじめての商品を完成させました。

とはいえ、安定した供給には程遠く、2018年、2019年は収穫がゼロ。３年ぶりに収穫されたこの海苔は、2020年に国内最高価格をつけ、伊勢神宮外宮にも奉納されました。漆黒に輝く色合い、あたりに漂う強烈なほどの香り、パリッとした食感、口どけのはかなさ、そして深い旨味。海をまるごと凝縮したような味わいは、思わず息をのむほどです。焼は1912年創業の桑名で最も歴史ある川出海苔店。

およそ50年ぶりによみがえった、「幻の海苔」をぜひご賞味ください。

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