食品とは、全て生き物が活動して増えた分を人間が頂いているという事ですが、僕たちが山に放した牛たちは最初の数年間は増えてきませんでした。
代々の酪農家に産まれ、牛を放牧すればストレスなく健康になり良い乳が搾れるとずっと聞いていましたが、僕たちが挑んだ実際の現実はまったくの真逆でした。山の環境が厳しく事故が多く、また生えている植物も栄養面で不十分であったため何年経っても牛が雄として雌として成熟してきませんでした。舎飼いの彼らの姿をよく知る立場から、牛には大変な苦労をかけてきたと思っています。

他所から牛や草を仕入れて投入すれば畜産業としては成り立ちますが、その土地に根付いて増えようとする生き物本来の活動に根差した牧場を作りたいと牛と共に挑戦して9年、本当に少量ですがこうして世に出せる分の生産ができるようになってきたのは、牛自身の厳しい環境に生きづこうとする懸命の努力の成果であり、山の環境も少しづつ変化し牛が生きるのを許容してくれた調和のあらわれだと感じています。山に息づく生き物たちの活力の結晶、ただ生きる為に作られた有機物を、五感を通じて感じて頂けたらとても嬉しいです。

夏季は山に自生する植物、冬季は河川敷の野草を発酵保存して餌にしています。周年完全放牧、完全自給飼料、抗生物質やホルモン剤の類は使用していません。製造には三重県沖の離島「神島」の塩(マイクロプラスチック未検出)を使用しています。

※画像はイメージです。
※離島への配送不可。